お仏壇にお仏具をお飾りして、初めて「浄土」の世界が表されます。お飾りすることを 「荘厳」といいます。「信は荘厳から」といわれ、信仰は仏さまの前に心のこもった 供養物を整えることから始まります。お仏具には、「お仏像」「お掛軸」「お位牌」 という礼拝仏具と、その他の一般仏具があります。一般仏具で大切なのは、「お香(香炉)」 「お花(花立)」「お灯明(火立)」の3種です。お花は仏さまのいのちと慈愛を、お灯明は 仏さまの智慧の光をそれぞれ表し、お香は清浄を意味します。この三つで「三具足」 といいます。
金仏壇の飾り方【浄土真宗本願寺派】・【真宗大谷派】
仏さまになるには、修業によって煩悩を断ち切り、善根を積むことが必要である、と されてきました。しかし、今の私たちにとって、それを毎日続けてゆくのは非常に難しい ことなのではないでしょうか。そこで、阿弥陀如来は私たちのような者を救おうと誓い、 浄土を建立したのです。この、阿弥陀如来の建立した浄土に生まれる道を説くのが 真宗の教えです。阿弥陀如来は私たちのような者こそを、救いの対象にしているのだと 説いているのです。また、真宗では、「阿弥陀如来に帰依をすると決めた時点で、誰でも 仏になることが約束される」としています。ですから、阿弥陀如来に帰依した後の念仏は 仏になるために唱えるのではなく、仏になれた感謝の表現として唱えるものなのです。 自分の修業などによって極楽浄土へ往生しょうとする「自力念仏」ではなく、阿弥陀如来を 信じ感謝の心とともに唱える「他力念仏」が真宗の念仏なのです。
浄土真宗特有のお仏具
唐木仏壇の飾り方 【天台宗】
「妙法蓮華経(法華経)」こそ、仏陀の教えの究極を説いたものとします。この法華経を中心に、 菩薩戒・顕経・密教・禅法などを融合した総合仏教といえます。これを「四宗相承(ししゅう そうじょう)」と言い、円・密・禅・戒、そしてすべての人、生物の存在には仏になる可能性が あると教えています。天台宗宗憲には、「天台宗は宗祖大師立教開示の本儀に基づいて、円教、 密教、禅法、戒法、念仏等いづれも法華一乗の教意をもって融合し、これを実践する」とあります。
唐木仏壇の飾り方 【真言宗】
真言宗は真言密教とも言い、「即身成仏」を教えの根幹にしています。これは密教の修行の 実践により、誰でもただちに仏になることができるという教えです。密教の修行とは、 身体の修行である身密、言葉の修行である口密、心の修行である意密で、あわせて 身口意の三密修行と呼ばれています。
唐木仏壇の飾り方 【浄土宗】
阿弥陀如来が西方十万億土のかなたにつくられた浄らかな極楽浄土に往生することを説く 教えです。極楽浄土に往生し、そこで阿弥陀如来の説法を聞いて仏になるのです。極楽浄土に 往生するためには、阿弥陀如来の救いを信じて「南無阿弥陀佛」と唱えることが大切だと、 法然上人は教えています。阿弥陀如来の救いを信じて南無阿弥陀佛を唱えていると、心も 体も清らかになり、人生を心豊に生きぬき、死後浄土に生まれて仏さまになることができるのです。 浄土に生まれれば、いつまでも浄土に居られるのですが、仏さまとしてこの世に帰ってきて、 まだ救われない人々を救うこともできるというのが、浄土宗の教えです。
唐木仏壇の飾り方 【曹洞宗】
曹洞宗の修行の基本は座禅です。修行は座禅だけには限りませんが、ただひたすら座禅を行うこと (只管打坐)を最も重要に考えます。そして、座禅の心と姿で日常生活を生きてゆく(即身是仏) ことを説きます。座禅の力は、必ず個人生活・社会生活に現れてきます。つまり、座禅と日常生活は ひとつ(禅戒一如)なのです。ですから、日常生活を大切にして、今、ここで生きているかけがえのない 命を事実のままに生きることこそが修行であり、この自己の修行がそのまま仏の姿であると教えています。
唐木仏壇の飾り方 【臨済宗】
臨済宗の教えは、人間が生まれながらに、誰もが備えている厳粛で純粋な人間性を自ら悟ることに よって、仏と寸分も違わぬ人間の尊さを把握するところにあります。もちろん禅宗ですから、 座禅を最も重視します。臨済宗の禅は、「看話禅」と呼ばれ、師匠が「公案」という問題を 出します。弟子はこれを頭だけで理論的に考えるのではなく、身体全体で理論を超えたところに 答えを見出します。そしてこの結果を検証するのが参禅です。師匠と二人きりで対面した弟子が 見解を提示じ、これを師匠が確かめるのです。
唐木仏壇の飾り方 【日蓮宗】
主だった日本仏教の各宗派の中で、日本人宗祖の名前を冠して宗派名にしているのは日蓮宗 だけです。それだけ、宗祖日蓮聖人の存在意義が教義に大きく反映しているのでしょう。 日蓮宗ではお釈迦様の説かれた教えの中でも「法華経」こそが、世の中を救う絶対最高の 教えであるとします。その法華経を説かれた、実際に歴史上に存在されたお釈迦様は「久 遠実成の本仏」が自身を表した姿です。久遠実成の本仏とは、永遠の昔に悟りを開いた 仏さまという意味で、実態を示したものなのです。法華経を日本に広宣流布した日蓮聖人 の教説を通して法華経を理解し、実践していくのが日蓮宗です。法華経は本仏の声そのものであり、 法華経の功徳すべてが「南無妙法蓮華経」の七文字にこめられていると日蓮聖人は考えました。 そこで、「法華経の内容をすべて信じ帰依する」という意味の「南無妙法蓮華経」を 唱えることを何よりも重要な修行としています。